【トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして/大野耐一】を読んでみた
大学で薦められた本だったので読んでみました。
ひとこと要約
トヨタ生産方式の本質について書かれた本です
要点整理
■トヨタ生産方式とは
目的=多種少量生産でどうすれば原価が安くなる方法を開発できるか
→基本思想「徹底したムダの排除」
1ジャスト・イン・タイム(必要なものが、必要なときに、必要なだけ)
・チームプレー、在庫減少
・後工程が前工程に、必要なものを必要なとき、必要なだけ引き取りに行く
・かんばん(意思を明確に体現化)で各工程間を回すことで生産量をコントロール
2自働化(機械に良し悪しの判断をさせる=自動停止装置付の機械)
・技を高める、不良品生産の防止
・機械に人間の知恵をつける
・多工程持ち
■ニーズ志向
・必要は発明の母
・ニーズのないところで行われる改善は思いつきに終わったり、投資の効果が得られないことが多い
・現場に対していかにニーズを感じさせるかが鍵
■「なぜ」を五回繰り返す
・1つの事象に対して五回
・物事の因果関係や、その裏の本当の原因を突き止めることができる
・事実を一番に重視
■ムダの排除
・能率向上は、原価低減に結びついてはじめて意味がある
→必要なものをいかに少ない人数でつくり出すか
・現状の能力=仕事+ムダ(作業=働き+ムダ)
・つくりすぎ、手持ち、運搬、加工そのもの、在庫、動作、不良のムダ
■標準作業表(現場の人間がしっかり納得しなければならない)の3要素
・サイクル・タイム(一個または一台を何分何秒で作らなければならないか)
・作業順序
・標準手持ち
■マインド
・農業マインド
・工業マインド(現実的、機械に知恵を付ける)
・コンピュータ・マインド(多すぎる情報は混乱を招く)
■認識
・動きを働きに→仕事ができあがることを認識
・工数低減とは、正味作業の比率を高めること
・100%正味作業を理想として、近づけることに注力
■フォード型とトヨタ型
・ロットを大きく、プレスの型を変えず、たくさん打ち続ける(フォード)
・ロットは小さく、プレスの型の段取り換えをスムーズに(トヨタ)
感想
トヨタ生産方式に対してまず評価したいのは、多種少量生産を目指したという先見性です。
現代において、ローカライズ・少量多品種のマス・カスタマイゼーションの必要性が叫ばれていますが、トヨタ生産方式はこの時代の流れをいち早く適切に捉えたと言えると思います。
単に生産方式として取り入れたのではなく、現場の人間一人一人に企業文化として浸透させる取り組みに強みがありますね。ニーズ志向や、「なぜ」を繰り返し事象の本質を捉えながら改善し、かつ当事者意識を持たせる企業文化の土台こそがトヨタの積み上げてきた強みだと思います。
「なぜ」を5回繰り返すことは本当に思考が深まるのでもっと習慣にしていきたいと思います。
先月にもインダストリー4.0の本を読みましたが、生産管理という視点から日本の国際競争力・未来の産業について考えるのもおもしろいなあと思いました。
多すぎる情報は混乱を招くと書かれていますが、これからは膨大な情報をどうコントロールできるかが国としての課題ですね。
まとめ
トヨタ生産方式の本質が見える本です!