【人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの/松尾豊】を読んでみた
ずっと気になっていた本。タイトルが「読め!」って言っています(笑)
ひとこと要約
「人工知能は、現状と可能性を正しく理解した上での活用が必要だ」という本です。
要点整理
■企業
・Google、facebook、バイドゥ、IBM、ドワンゴ
・プリファードネットワークス(NTTが2億出資)
■人工知能の実現
・人間の知能は、原理的にはすべてコンピュータで実現できる(思考=計算)
・生物をまねしたいと思っても同じようにする必要なない(飛行機の例)知能の原理→コンピュータで再現
・人間=知能+生命(心)→機械は本能(快・不快)を持たない
・強いAI(心がある)、弱いAI
■問題
・知識獲得のボトルネック
・フレーム問題「関係ある知識だけを取り出してそれを使う」
・シンボルグラウンディング問題(シマウマの例)→身体性というアプローチ
■人工知能のレベル(学習=分けること)
・レベル1 制御
・レベル2 探索・推論(知識)
・レベル3 機械学習
・レベル4 特徴表現学習(ディープラーニング/深層学習)
→特徴量を抽出可能(予測能力が上がる)
※特徴量(データの中のどこに注目するか)
→どうつくるかが機械学習の本質
■オントロジー(存在論)
・ヘビーウェイト・オントロジー(「人間がきちんと考えて知識を記述していくためにどうすればよいか」を考える)
・ライトウェイト・オントロジー(「コンピュータにデータを読み込ませて自動で概念間の関係性をみつけよう」)
→ウェブマイニング・データマイニング、ワトソン(質問の意味を理解しているわけではない)
■人間の仕事として重要なもの
・非常に大局的でサンプル数の少ない、難しい判断を伴う業務(経営者や事業の責任者)
・人間に接するインターフェースは人間のほうがいいというもの
・短・中期→データ分析や人口知能の知識・スキル
・長期→人間にしかできない大局的な判断、人間対人間の仕事に特化
■脅威
・軍事応用や産業上の独占
■人工知能の役割
・社会システムの中で人間に付随して組み込まれていた学習や判断を、世界中の必要なところに分散して設置できることで、よりよい社会システムをつくることができる
感想
人工知能について体系的に学べる本です。超おもしろい。
Googleの「第五の権力」を読み返したくなりました。
多分、世間のほとんどの人は人工知能について誤解をしているだろうなあと、この本を読んで思いました。著者の主張通り、技術レベルの現在地を把握しておくことは大切ですね。
新聞やニュースの情報は断片的なので、本で体系的に学ぶことは重要だなあと改めて思いました。
では本を読んだ上で「今後も無くならない仕事」とは何か、意見をまとめておこうと思います。
私は「人にしかできない仕事」に加えて、
「人がやることに、人が価値を感じる仕事」
が今後も残り続けると思っています。
テクノロジーの発展で、間違いなく「人にしかできない仕事」は減っていきます。
でも「人がやるから意味がある、価値がある」という仕事はどの時代にも存在しうると考えています。
去年読んだWIREDの人工知能特集号で、おもしろいことが書いてありました。
レイ・カーツワイルのシンギュラリティ(人工知能が自分の能力を超える人工知能を自ら生み出せるようになる時点=特異点)も衝撃的でしたが、
人工知能などのテクノロジーによって産業構造が大きく変わっても、今後「ダンサー」だけは職業として残り続ける、という内容でした。
なんでダンス?と思いましたが、まさに「人がやることに、人が価値を感じる仕事」だと思います。
人間が練習して、技術を体得して、機械には無い「心」を表現するからこそ意味があり、見ている人も「心」で共感するため価値を感じるのだと思います。
いくらロボットが人間らしくダンスしても、なんか気味悪いですもんね。
劇団四季のライオンキングを今年見に行きましたが、キャストがもし全員ロボットだったら、と考えると果たして意味はあるのか疑問です。個人的にはめっちゃ見てみたいですが(笑)
WIREDでは、宇宙旅行へのハードルが下がって「宇宙ダンサー」が職業として生まれると結論付けられていました。十分あり得ると思います。
私は宇宙ダンサーを目指そうとは思いませんが、無くならない仕事をしていきたいと思っています。
人がやるから価値があるという視点で言えば「営業」、人にしかできないという視点で言えば本の通りですが「事業の責任者、経営者」です。
仮想世界が広がり、バーチャル空間の中でホログラム化された自分が商談や会議に出席したとしても、対面での「営業」ということに変わりはありません。「心」があるので、人に話されることで人は価値を受け止めるでしょう。なので、営業力は磨き続けたいです。
そして人工知能などのテクノロジーの仕組みを知り、最大限活用しつつ、適切な決断ができるリーダーになりたいと思っています。機械がはじき出す数字を妄信するのではなく、複雑な要素で構成された社会に対して仮説と検証を繰り返していく。
カッコつけて語りますが、個人レベルでは、これからは人工知能との勝負の時代だと思っています。
ルーティンワークに溺れないように、未来の自分への投資となるような仕事を積み重ねていこうと思います。
まとめ
人工知能とは何か?が詰まった1冊です!
人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)
- 作者: 松尾豊
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
- 発売日: 2015/03/11
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